ハネノネ ‐the world that you saved.‐
あたりが一斉にどよめく。
僕も予想外の展開に、さすがに驚いた。
まさかちょっと馬鹿にしただけで起き上がるほど怒りに満ちるとは思ってもみなかった。
「…私ひとり死んでたまるものか…!貴様等、全員道連れだ…!」
よろよろと歩き出す男の手には、護身用のナイフが握られていた。
相手の動きはとても遅いから逃げようと思えばいくらでも逃げれるはずなのに、僕の足は思い通りに動かなかった。
しかし頭の中はとても冷静で、男の様を見て「愚かだな」と思っていた。
男の手に握られたナイフが、僕を目掛けて一気に降り下ろされる。
その瞬間に来てようやく自分の身の危険を感じたが、僕はぎゅっと目をつむり両腕で顔を庇うことしか出来なかった。
その時、風を感じた。
とても強く、暖かな風。