Sweet Vanilla Bean



下を向くと五歳ぐらいの男の子がいた。

「どーしたの?坊や」

「けぇね、まいごにね、なっちゃったの…」

男の子は俯きながら言った。

「そっかぁ」

(かわいいなぁ)

「おねぇさん、いっしょにさ、けぇのまま、さがしてくれる?」

「うん、いいよ。お名前はけいくん?」

「んーん。まみやけーたろー。でもね、みんな、けぇちゃん、とか、けぇ、とか、あとぉ、うーん、けーたろー、とか?よぶよ」

「じゃ、けーたろー。ママ探そうか」

「うんっ」

私はけーたろーの小さな手を繋いで、来た道を引き返した。

けーたろーが持っていた風船をついさっき水色の薄気味悪いクマの着ぐるみが配っていたのを見たからだ。


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