借金取りに捕らわれて
「なに言い出すかと思えば…
そういった仕事じゃなくたって触られるときは触られるんですから、そんな事言ってたら切りがないですよ。」



今の気持ちを気づかれたくなくて、そう呆れ気味に言ってみたものの意図した様に伝わってるかは全く自信がなかった。



「だが、仕事とはいえお前が他の男に触られるのを俺は許せない。」



「そ、そんなこと…私に関係ありませんから。
それに、何か勘違いしてるみたいですけど、私がこれから行くのは厨房のバイトの面接ですから。」


「なんだよ、それならそうと早く言えよ。」



秋庭さんは心底安心したようだけど、ちゃんと考えれば私にはキャバ嬢なんて無理ってこと直ぐ分かるはずなのに。



こんなに地味なんだから。


と、調度通り掛かったショーウインドーに映る自分の姿を眺めていると直ぐ後ろの車道に黒塗りのベンツが一台泊まるのが見えた。


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