bitter×sweetな恋ゴコロ


ハジメは毎晩、こうして私の部屋にやってくる。

そこにはもちろん、特別な意味なんてない。


「明日も、朝早いの?」


珍しく真剣に教科書とにらめっこしているハジメに問いかける。


「えー?うん…」


顔も上げずに、ぼんやりと答えるハジメ。

茶色がかった柔らかそうな髪がエアコンの風でふわふわ揺れている。


「じゃあ、また6時起き?」

「んー」

「大変だねぇ。」


長い睫毛に大きな瞳。

女の子みたいな可愛らしい外見。

こんなにぼやっとして女々しい性格のハジメだけど、これでもサッカー部のエースだったりする…らしい。

高校に入ってからというもの、朝から晩まで部活漬けの生活。

勉強する暇なんてあるわけがない。

だけど、“文武両道”を掲げる学校だから、赤点を取ると“部活動禁止”処分を受けるらしく……

こうして、毎日必死にやってるんたよね。

それはエライけど……


1人じゃ絶対に眠っちゃうから…って、ここでやるのはどうかと思う。


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