bitter×sweetな恋ゴコロ
「アヤーっ、ここわかんない。教えて?…って、ひとりで何食べてんの??」
いつもの如く、10分もしないうちに音を上げたハジメ。
教科書を持って寄ってきたかと思えば、私を見て声を上げた。
「……チョコだけど?」
手にしていた一粒を口に入れてから、私は素っ気なく答えた。
さりげなーく、その箱をハジメから遠ざけながら。
「ずっるーっ。人が頑張ってる横で、自分だけ!」
案の定、避難がましく口を尖らせて“自分も”と言わんばかりに手を伸ばしてきた。
「ダメっ。」
バシッと、思いっきりそれを振り払ったものの、
「1個くらい、いいじゃん」
引き下がる気配はない。
いつのまにか、持っていた教科書を放り出して臨戦体勢に入っている。
……まったく。男のくせに、甘いものが大好きだからタチが悪い。