カノジョの秘密。
「お前、駅前のコンビニで働いてるんだってな。」

「は、はい。」

それが何?

「さっき電話しといた。お前が辞める旨をな。安心しろ。今月分の給料は入るようにしといてやったからよ。」

「ちょ、ちょっと待ってよ!!」

「何だ。」

「あたし辞めたいなんて一言も・・!」

「そんなの関係ない。お前は今日から家で働くんだぞ?Wワークなんか無理だろ。」

なによそれ・・・。
怒りが込み上げてくる。

「大体っ!どうしてあたしがここで働くことになってるのよっ!」

思わず椅子から立ち上がる。
声が荒くなった。

「今のお前には選択肢はそれしかないはずだ。」

それに対し、堂島さんはひどく冷静だった。

「・・どういう意味?」

「お前はあの家にはもう住めない。かといって引っ越す金もない。天涯孤独で頼れる者もない。学校へは通えても、帰る場所がなければどうやって生きていく?食事は?洗濯は?風呂は?浮浪者にでもなるのか?なったら笑い者だぞ。」

その冷静な語り口に、言葉が返せない。確かに、あたしは八方塞がりだ。

「それにお前、今日のアレ、昔の男関係らしいな。自業自得だな。」

・・・でも。

「女で一人で生きてくなんて、無理難題だ。今のお前のバイトだって、稼げる金なんかたかが知れてんだろ。」

・・・・でも。

「・・バカにしないで。」

「・・・は?」

怒りで、声が震えた。

「バカにしないでよ!」

あたしの様子に、堂島さんが息を呑むのがわかった。

「確かにそうよ!あたしは天涯孤独で、お金もなくて、学校通うのがやっとで、バイトしないと生活だってしていけなくて、男運だってめちゃくちゃ悪い!だからこんな羽目にだってなってるし!でも!堂島さんにここまでしてもらう義理なんかない!」

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