唇にキスを、首筋に口づけを


「内田くんの気持ちは理解しました・・・。


ですが、肝心な、魔界への侵入方法がありません。」



そこは、とても大きな課題である。




けど、ここにいる人たちは頭がいいから、もう、気付いているのではないのか・・・?


俺はこの、ある方法しかないと思っている。



だって、そうだろ。



「結界境線を、外すしかないんじゃないですか。」



俺は無意識に低い声で唸るように言ってしまった。


ビシ、空気が固まるのがわかる。



結界境線とは元々結界師が無意識という中の意識で作り出しているものだ。


意識すれば、人為的に結界境線は撤廃できるのである。


そして1人の結界師がもの凄い勢いで手を挙げた。




「そんなの危険すぎます・・・!!

莫大な数のヴァンパイアが人間界に侵入してきますよ!?」


そんなの、承知で俺は発言してる。



危険なことも、わかってる。



「それはもう、ヴァンパイアと人間の全面戦争しか、ないんじゃないですか。」



俺はそう言い、また続ける。



「おねがいします、皆さん力を貸してください。



俺は必ず、魔界に入って中川ゆりなを助け出します。


皆さんはその間、侵入してきてしまったヴァンパイアの始末にあたって頂きたいです、

この作戦が危険なのは百も承知です。


でも、これしか方法はありません。


お願いします・・・!」



辺りが静かになるのがわかる。


そして1人が静かに言う。



「24時間待つ。


24時間以内に、

君が帰って来なければ、俺たちは結界境線を閉じる。


そうなれば君はもうこの世界には帰ってこれない、

それでもいいか?」



それはとても、重い。


けれど、


そんな軽い気持ちでゆりなを助け出そうなんておもってない、



人間界の居住権なんて簡単に捨ててやる。



俺がしたいこと。


それはただ一つ。



ゆりなを助け出すことでしかない。



そして、結界境線を外すという大規模な作戦は一週間後に決行されることとなった。



日本中の結界師が集まり、日本中の狩人が集まる。



ざっと、結界師は100人程度、


狩人は1000人程か。


この人数比からわかるように、

結界の能力を持つものは、とてつもなく少ない。
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