唇にキスを、首筋に口づけを
運命とやらか。



「お願い!」



ケータイ越しに聞こえる友達の声に、


私はため息をついた。




・・・あの日から数日。




あれからは爽哉は普通に帰ってくるし、


あまり変なことは起こってなかった。





「・・・別に私じゃなくてもよくない?」




「どうせアンタ暇でしょ?」




「失礼な。」




確かに今日はバイトないけどさ。




今、私は友達に懇願されている。




合コンの人数合わせに来いって。




私はあんまりそういうの好きじゃない。




だって見ず知らずの人と喋って楽しめる訳なくない?




「ごめんごめん、



今日の7時に駅で待ち合わせね!


じゃっ」




「え、ちょ・・・!」



勝手に取り付けないで!



そう言おうとしたけど、




聞こえて来たのは機械的な音。





・・・まじかい。




――――――




・・・行きたくない、



行きたくない、



無視ってやろうか、



と思ったけどちゃっかり時間通りに駅にいる私は相当お人よしだと思う。




「ゆりなー!


来てくれると思ったよ!



ありがとう!」




電話してきた友達は私を見るなり抱き着いてきた。




彼女は美容系の専門学生で、




彼女の後ろにいる綺麗な女の子二人は面識が少しだけある。




前に紹介されたし。




「・・・」




私は黙る。




「にしてもさー、



あの過保護なうっちーをどう巻いたわけ?」




歩きながら友達は私の隣で話す。




「巻くって・・・。



普通に女子会してきまーす、って。」




「アハハ!



だよね、アイツがゆりなを合コンに放り込むわけないもんね!」



ヘラッと彼女は笑った。




ちなみに、うっちーとは、


高校時代の爽哉のあだ名。




内田爽哉。




だからうっちー。


< 20 / 257 >

この作品をシェア

pagetop