唇にキスを、首筋に口づけを
「・・・
それ、とても今更。」
彼女はそう言った。
声のトーンは至って普通で冷静を装っているのかそれとも普通に何の意識もないのか。
「・・・
コトによってはあんたが最初の異性だよ。
ほとんどは爽哉だけど。
今更言われても何も感じない。」
そう言ってまた水を口に含む音。
「・・・実際私が言ったんだ。
あんたが謝ることじゃない。
私も頭おかしかったんだよ。」
ハハッ、そんな風にゆりなは自分を嘲笑うかのように声を出す。
「おかしいよね。
お互い気持ちなんてなくて、
そんでもって
初めての相手が自分の大切な人を奪ったヤツの仲間。
笑うしかないよね。」
ハハハッ、
乾いた声が、部屋中に響き渡るようで。
俺は心臓を早鐘させるだけ。
ドクンドクンと。
ゆりなの真意が見えなかった。
どうすればいいのかと、おもってしまった。
本当にこれがゆりなの心の中の言葉なのか・・・?
全くわからない、どうすればいいんだ。
けれど、
どうしても撤回したいことがあった。
「少し、違う。」
俺はゆっくりと顔をあげて、
ゆりなの顔をじっと見つめて。
「俺には、気持ちがあった。」
そう、目を離すことなく。
目線と目線が交差して。
そして先にその交差を切ったのはゆりなだった。
ひとつのため息と共に。