唇にキスを、首筋に口づけを


そしてとりとめもない会話をダラダラと続けていると、料理が運ばれてきた。



もう、いっそのこと目を合わせないようにしよう。



うん、それがいいそれがいい。




そして私はケータイを無駄にスクロールさせ続け、


下にいったら上に戻り、


をしてケータイから一ミリたりとも目線をずらさないようにしておいた。




そしてごゆっくり、



というマニュアル通りの台詞を聞いた5秒後、


やっと、顔を上げることができた。



目の前にはいつ見ても美味しそうなオムライス。




「うきゃー!」



私は小さく歓声を上げた。




「うまそー。


はーい、じゃ、」



「「いただきます」」




私達はいつものように声をあわせて挨拶。



私はスプーンでオムライスをすくいとり、口に入れた。




「うまぁ」



ああ、なんておいしいの・・・!



賄いとかで食べるのとまたちがうおいしさ・・・!




「ゆりなー、


お前のちょっとちょーだい」



「うん、いよー。


爽哉のもちょーだい」



「あいよ」



私達はお互いの料理をシェアしてめちゃめちゃ美味しく頂いた。




「関節ちゅーだねー。」



私は冗談をかましてやった。



語尾にハートつけるくらい。



爽哉もきっと、


そーだねぇーとか、オネエっぽく返してくれると思っていた。



が、




「・・・!」




ぶほっ

ボボボッ、


まるでそんな音が出るくらいに急に顔を赤くした。



その前に少し吹き出した。


わお、大丈夫?



てか、



・・・はい?



あっれー、


なんかいつもの爽哉じゃないぞ?



さっきの腕組んだときとかもさ、



変じゃない?




取り敢えず、このどうしようもなく恥ずかしい雰囲気をどうにかしなければ。




「ちょーい、


間に受けないでーよ。


冗談だし!


変な意味じゃないから!」




私は席を立ち、爽哉の背中をさすりながら言う。



爽哉は必死に頷いている。



そして少し落ち着き、


わりい、と一言言った。
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