唇にキスを、首筋に口づけを


そして、ある程度挨拶を終えると・・・



「こんばんは!
内田さん、ですよね?」



・・・あらら、やっぱり来たなー。



可愛らしげな女の子。



何気に爽哉は顔がいいからモテる。



そして、それに加え、[10年に1人の逸材]

なんていう肩書きもある。



そりゃあ女の子達は喜んで食いつくだろう。



あ、またもう1人来た。



あ、また1人。



今度は3人一気に。




・・・ああ、


完全に私アウェーだ。




「爽哉、

飲み物取りに行ってくるね!」



私は笑って言った。



そしてすぐに背中を向けた。




「あ、っおい!」



呼び止められたけど、いいや。



あの中に爽哉のお嫁さんになる子がいるのかも、分からないし。



私はウエイターさんに、オレンジジュースをもらって、


窓の外に出た。



ああ、夜風が生温いけど、ちょっと気持ちいい。



空を見上げると月が浮かんでいた。




・・・月って・・・、



私、ジュン君に似ていると思うんだ。



青白くて。

裏を、見せない感じ、



私は、ジュン君の輝いている面しか見ていないような、そんな気がする。




・・・ああ、


どうして胸がこんなに痛いんだろう。



泣ける、よ。



私は、オレンジジュースを口にした。




そうしていると、



「こんばんは。」



急に、声をかけられたかと思えば、

既にその人は横にいた。



私はその動きに少しぎょっとした。




「こ、こんばんは・・・」



するとニコリと笑われた。


わ、男の人だ・・・



ていうか、私全然この人のこと見たことないんだけど?



誰?




「さっき、内田くんといた子だよね?」



「はい、まあ。」



「どんな関係なの?」



「え、あ、パートナーです。」



この業界ではパートナーとは、


狩人と結界師のタッグのことを指す。



「へえ。」



そう言うと男は手に持っている水だかなんだかわからないものを飲んだ。
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