執事と共にバレンタインを。
「でも、これは間違いなく私たちの作ったチョコレートが詰まった箱だったはずよ。それに、」


恵理夜は、箱の右端を指差す。


「カトウって人が食べた分も無くなっているもの」


確かに、9つあるしきりに詰められたチョコレートは8つのみ。

右端だけ空いていた。


「摩り替わるタイミングはなかったはずよ」


恵理夜のかばんから、その箱が出されたのは2回。

カトウの事務所で一回、そしてこの屋敷で2回。

カトウが実際に口に入れて美味い、と称したそのチョコレートの箱を恵理夜は持って帰ってきたのだ。
< 118 / 161 >

この作品をシェア

pagetop