執事と共にバレンタインを。
「今、なんて言ったの」

「ですから、箱をすり替るタイミングは……」

「箱を、すり替える……?」


恵理夜は、箱が入っていた自分のかばんを見た。

それでも、折り紙を続けるその手は休めない。

紙を折って返すその都度に、ひらめきが頭を掠める。

――玄関たたきにけり落とされ、拾ってもらったかばん。

――中身を収めて春樹に預けたかばん。
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