執事と共にバレンタインを。
やはり、というように春樹は頷いた。


「どうやら、中身ではなく箱そのものがすり替られたと考えたほうがよろしいでしょうね」

「でも、ずっとかばんの中にあったのよ」


玄関先でかばんや中身を落とした時でさえチョコレートの箱は飛び出さなかった。


「箱をすり替るタイミングは、どこにもないですか」

「え……」


恵理夜は、春樹を仰ぎ見た。
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