執事と共にバレンタインを。
「……これ、渡して来ないと終わらないみたいね」


その時、恵理夜の肩を別の手がそっと押えた。


「世話かけたなぁ、恵理夜」

「お祖父様」


恵理夜の祖父、そしてこの一家の組長《カシラ》だった。


「面倒なことに巻き込んじまったみてぇだな」


祖父は快活に笑って、恵理夜の手から大麻を取り上げた。


「ここからは、わし等の仕事じゃあ」


その笑みは、一家を支えるものにふさわしい笑みだった。
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