執事と共にバレンタインを。
「早く。溶けちゃうわ」


恵理夜の指の間にあるチョコレートは決して大きいサイズではなく、口にすれば間違いなく恵理夜の指も含んでしまうだろう。

それに戸惑う春樹が、いじらしかった。

しかし、そうしている間にチョコレートは恵理夜の体温によりじわじわと溶けようとしていた。


「あっ」


――落ちそうになったチョコレートを、春樹の口が捕えた。
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