執事と共にバレンタインを。
春樹の舌が、指を撫でるのがわかった。

指に付着したチョコレートが舐め取られていた。


「ああ、やっぱり甘い……」


口元についたチョコレートを拭いながら春樹が呟いた。


「さすが、貴女が作ったチョコレートだ」


心なしか不適な笑みがあるような気がして、恵理夜は思わず目を逸らした。

頬がわずかに赤くなる。

自分で仕掛けたことなのに思いのほか動揺してしまったらしい。

その時――
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