執事と共にバレンタインを。
「仕方ありませんね」


春樹は、肩をすくめ眉を下げた。


「これ以上、お嬢様の手を汚すわけにもいきませんし」


恵理夜の手は、ガナッシュでべとべとになっていた。

普段、料理人が雇われるほど広いキッチンは、二人の手によって甘い匂いで充たされていた。
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