執事と共にバレンタインを。
「今年も、手作りのチョコレートなんですね」


毎年、恵理夜は周囲の人に手作りのチョコレートを配っていた。


「ええ、お祖父様と叔父様の分に、組の人にも渡したいし」


組の人――恵理夜には、家族が多い。

それは、恵理夜の家がカタギではなく極道だからである。

一緒に暮らす人や使用人を家族と呼ぶならその数は膨大だ。

その分を、いつも多く用意していた。
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