lucky×unlucky
「そういえば…初めて家族で行った場所は遊園地だった…私が行きたいって言ったから…
乗り物に乗ったり、アイスを食べたり…とにかく楽しかったことは覚えてる」
「……」
目を細めて懐かしげに遠くを見つめる篠宮さん
どうして俺にそんな話をしてくれているのか分からないが、黙って目の前にいる艶のある黒髪の彼女の言葉を待った
「…最後に観覧車に乗って、お父さんとお母さんが言ったの…いつまでも笑顔でいてくれ…幸せになってくれって」
ポツリ…ポツリと話しているうちに表情は段々と翳ってゆく
「笑顔?…幸せ?…私が手に入れて良いものじゃない…日向が居なくなってからずっと
「…日向?」
俺は思わずその名を呼んだ
学校の屋上で聞いた言葉
その時も、篠宮さんは辛そうな顔をしていた
「日向…私の大切な人…今は何処にいるのか分からない…でも、仕方ないの。もう、会う資格もない…それだけのことをしたんだから」
硝子に這わせた手をギュッと握りしめ、下を俯く
心なしか声が震えている
「篠宮さん…」
どうして篠宮さんがこんなに苦しまなければならないんだろう
事情も知らないのに俺はこの場にいない日向という人を問い詰めたくなった