lucky×unlucky




「………」

亮介に言われて足を止め耳を澄ますと、上から楽しそうな声と共に大勢の人達が階段を降りてくる音がしてきて

俺達はとりあえず階段裏の薄暗い場所に置いてある掃除用具入れの後ろに身を潜めた

『あははっ…だよねーー…』

『でさーーー…』


人数は5,6人くらいだろうか声は男女が混じっている

これだけ大声で話してるのだから恐らく上級生だろう

彼等は階段を降りると何処かへ行くわけでもなく、その場で立ち止まり話し始めた

「マジかよ…」

俺達は顔を見合わせて苦笑する

幸いにも彼等の死角にいるので俺達の姿は彼等には見えないが、ヘタに動けばあの大人数だし、距離も近いので速攻で捕まるのがオチ

大人しくここで彼等が何処かへいってくれるのを待つしか無いようだ



『…で、見つかったの?あの子』

『いえ、他の場所で探してる人達からもまだ連絡がありません』

『何してんのよ…早く紘香さんの所に連れていかないと私達怒られるじゃない』


辺りを見渡したあと、少し声のトーンを落として話し始める彼等

どうやら誰かを探しているようだった


「てか、これって盗み聞きに入るのかなぁ?もしかして犯罪?」

「阿保か。あんな所で屯(たむろ)してる人達が悪いだろ」

小声でそんな呑気なことを言い合いながらも耳はしっかりあの集団の声を拾っている


『もーあの地味女探すの面倒臭いんだけど』

『そもそも今日来てんの?』

『先程新入生の出欠を取り纏める先生に彼女の出欠を確認したのでそれは大丈夫です。尤も、遅れて来たらしいので参加したのはついさっきからですけど』

『はぁ⁉どうりで見つからない筈だわ』

げんなりとした表情を浮かべる女の子達に男も苦笑する




『あの地味女の名前…篠宮…杏だっけ?お前らの嫌がらせに全く動じないらしいな』


「「ーーーーッ⁉」」

え、篠宮さん⁉


唐突に発言された意外な人物の名前に俺達は思わず声をあげそうになった



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