lucky×unlucky
-篠宮杏side-
「…はぁ…はぁ…」
一体、どれくらい走っただろうか
逃げ切ったかと思えば、別の方向からやってきた奴に追いかけられ、弾む息を落ち着ける暇もなく、ただひたすら足を動かす
ほんとは、直ぐに捕まって終わりの予定だった
トロトロと捕まっても歩かなくていいように体育館付近を彷徨いていたら、対向から何人かの集団が近づいてきて
私の姿に気が付いた奴らは一斉に『見つけた!あいつだ!捕まえろ!』と口々に叫んで一目散に此方へ走ってくる
そのただならぬ殺気を感じてはい、そーですかと大人しく捕まる私では勿論なく
さっきの倍以上の速さで踵を返した
「…ったく…しつこいなぁ…もう!」
で、現在進行形で逃げ回っているというわけで
なんで、こんなことに…なんて
原因がわからないほど馬鹿ではない
おそらく、自分が嫌がらせされても懲りずにあの二人に関わっていたから痺れを切らした親玉が本格的に潰しにかかろうとしているのだろう
その、親玉が誰かまでは分からないけど
冷静な頭でそう考えながら、足は絶えず動く
体育館を抜け
下駄箱を通り過ぎ
階段を駆け上がり
辿り着いたのは
いつも三人でご飯を食べるあの屋上だった