姉妹

なんだそんなことか、と和也は鼻で笑った



「分かっているなんて言って分かってないんだね。安心しな、美月ちゃんは君を恨むことなんて一言も言わなかったよ」




「そう、なの?」



美紅は少しほっとしたようだ

しかしそれも一瞬で消え去った

まだ問題は一つも解決していないからだ




「さらに言わせてもらうと、美月ちゃんの失踪は美紅ちゃんのせいではないよ。美月ちゃんが許せなかったのは君じゃない。自分自身だ」




「自分自身」




「そう。美紅ちゃんの変化を良く受け止められなかった、自分自身を誰より恨んでいた。そんな自分をさよならして成長するために、美月ちゃんは自らこの道を選んだんだ。それを美紅ちゃんのせいだ、なんていうのは決断した美月ちゃんに失礼だよ」



驚いた


和也がここまで美月をみていたなんて、美紅は知らなかったからだ


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