姉妹
人気のない廊下を一人あるいている

休み時間だというのに静寂を保っている

どこか寒々しい


そんななか、強い足音が一つ

その顔には冷たい笑みが浮かんでいた

真実を伝えようという純粋な意思と少しの悪意が混じっている

美紅の本性を暴いてやれ
そのためには少し尾鰭を付けたって構わない

その少女‐有栖川絵梨花はゆっくり、一歩一歩確認するように教室へ向かっていた






どれほど歩いただろう

校内なのだから一キロもあるはずないのだが、千里もあったような気もする

そもそもまだ休み時間開始から10分くらいだ

少しずつ廊下が騒がしくなってきた

前方に教室が見える

絵梨花が向かわんとする教室には、今まさに潰そうとしている【敵】がいるはずだ


話し声が聞こえる


「・・・・・・・・・・」


わたしが悪者になっている?
みんなが美紅に同情している?



アリエナイ


オカシイワ



「それは・・・違うわ」


絵梨花は俯いて呟いた

私は人望があるほうではないけれどあんまりだ


思わず教室のドアに手をかけた

そして大きく一歩を踏み出して高らかに宣言した

「それは違うわ」

-宣戦布告-
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