姉妹
「「ただいまー」」

「おかえり美月ちゃん」

祖母の態度は相変わらずだ

美月は罰の悪そうな顔を美紅に向けたが、すっかり慣れっこになっていた美紅は美月に目配せをして先に祖父の元に向かった


善蔵は縁側に腰掛けて庭を眺めていた

「おじいちゃん、ただいま」

「おかえり。さっきお前達が楽しそうに笑い声をあげながら帰ってくるのが聞こえたよ。高校はどうだい?楽しくなりそうか?」

「うん、皆真面目で良さそうな人だったよ」

「そうか。そりゃあいい。そうそう、彼氏はできそうか?」

「彼氏?」

一瞬晴樹の顔が浮かんだ

「いないいない!まだ全然だよ!」

「そうか?まぁいい、早く美紅にも心から好きだと思える人が出来たらいいと思っているんだ。彼氏が出来たらおじいちゃんに見せるんだぞ」

善蔵ははっはっはと豪快に笑った

「ゴホッゴホッ」

「おじいちゃん大丈夫!?」

「なに気にすることはない、美紅、庭を見てくれ。ばあさんと半日掛かりで手入れしたんだ」

きちんと整備された庭は緑と春の花々が美しく繁っていた

鹿おどしが風情を一層感じさせる

美紅は庭をとても美しいと思った

いつまでも見ていたいと言わんばかりに見入った
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