姉妹
「あら、どちらさま?」

「美紅さんと同じクラスの榊原晴樹です。すみません、いきなりお邪魔して」

「いいのよ、ゆっくりしていってね」

「ありがとうございます。お邪魔します。」

祖母は晴樹を気に入ったのだろう

始終にこにこして非常に感じが良かった

「おばあちゃん、水饅頭ある?」

「あるわよ」

祖母は美紅には目もくれずに去った

「・・・ありがとう」

晴樹は二人の間の空気がただならぬものであると感じた

美紅を無視することに慣れてた祖母
無視されることに慣れた様子の美紅

どちらも異常だ、と晴樹は思った

と同時に寂しくなった

美紅は今まで祖母にこんな扱いを受けていたのか?

美紅の両親はどうしたんだ?

どうして美紅は平気でいられるんだ?


「ありがとう。心配してくれてるんでしょ?私は大丈夫よ」

「そうなの?でも」

「大丈夫よ」

美紅はふっと笑って晴樹をさえぎった

「ここよ。美月もいるし、綺麗なお庭もあるのよ」

襖を開けて縁側に晴樹を招待した
< 65 / 327 >

この作品をシェア

pagetop