姉妹
なるほど美しい庭があった

物語の一部分に出てきそうな、良く整備されたとても日本的な庭だった

「お客様って晴樹くんだったの!?」

美月が驚きの声を上げた

「突然ごめん」

「いいのよ!さぁ、座って座って!!」

一点の曇りもなく明るく輝くように美月が笑った


晴樹はその笑顔をみて、なんともやるせなくなった

同じ顔をしているのに、そこから生み出される表情はまるで違う

なにがこの姉妹をここまで変えてしまったのか?


「晴樹くん、桜の水饅頭食べる?」

「え、いいのかな?もらっても」

「いいに決まってるじゃない!まだ残ってると思うから」

「あるみたいよ。さっきおばあちゃんが言ってた」

「そうなの!?よかったー!美紅、取りに行くから手伝って!」

「わかったわ」


「ははは、仲の良い双子だろう。こんにちわ、見ての通り二人の祖父だ」

「こんにちわ。美紅さんと同じクラスの榊原晴樹です」

「晴樹くんか。悪いな、美月が騒がしくて挨拶が遅れてしまった。美月と美紅の祖父の善蔵だ。よろしく」

「よろしくお願いします。すみません、突然押しかけてしまって。お菓子まで」

「いいんだよ。この家に二人のお友達が来るなんて数年ぶりだ」

晴樹は善蔵の言葉に違和感を覚えた
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