姉妹
「二人が戻ってくる前に済ませたい。時間がないから単刀直入に聞くよ」

「はい」

「晴樹くん、君は美紅が好きかい?」

「え、」

「正直に答えてほしいんだ」

晴樹は挫かれた気分になった
正直この質問は想定外だった

そもそも・・・

祖父の前で孫への淡い想いを伝えてもいいのか?
しかもそれが完全に「恋」とはまだ分からない
更に生まれて間もなく父親がいない美紅にとって、祖父は父代わりでもあるんじゃないか?
父親に娘への想いをつたえるなど、どちらにせよ命取りなのでは?


晴樹は考えに考えて善蔵の顔をみた

善蔵の顔に度肝を抜いた

・・・この人、普通の心境じゃない

なんというか、興味本位ではない

俺の答えを本気で聞こうとしている

崖っぷちの賭けをしている

この人に嘘をついてもばれる、と晴樹は感じ取った


晴樹は息を吸って慎重に言葉を紡いだ

「俺は、美紅さんが好きです。友情ではなく、恋愛感情として。」

「なぜだか分かりません。一目ぼれをしたことがないのでこれが一目ぼれかも分かりません。でもいい加減な気持ちではありません」

「まだ会って日が浅いので、彼女の全てを知っているなんて言えません。でも悪い子じゃないと思うんです」
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