風見鶏は一体何を見つめるか
「なんでウチで働こうと思った?」

「…どうしても手に入れなくちゃいけない
ものがあるからです。」

まだ誰にも話したことのない、僕の頭の中

だけで練られた計画を頭に思い浮かべなが
ら僕は言った。

大将はその僕の言葉の真意を探るように僕
を睨ん――いや、見つめている。

僕はその視線に、恐怖を感じながらも負け
るもんか、と睨み返した。

一分か、それとももっと長い時間か。

どれくらいの時間大将と視線のぶつけ合い
をしていたかわからないけど、その大将が、
厳つい顔にニカッとした笑みを浮かばせた。

時計の秒針がチッチッとなる音でしか時間
がわからない部屋の雰囲気が唐突に緩む。

そして

「――よくわからんが、採用だ」

と大将は言った。

心踊る気持ちで、ありがとうございますと
言おうと立ち上がったところで、大将は「
待った」と静止をかけた。
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