風見鶏は一体何を見つめるか
高校入学を果たしたばかりの年齢の子ども
を雇ってくれるところなどなかなかなくて、
途方にくれていた時、たまたまバイト面接
に行ったところがクラスメイトの親が経営
していたお店だった。

履歴書と僕の顔を交互に見ながら、厳つい
顔をした大将(そう呼べと本人が言った)
がなにやら考えこんでいる。

「…あ、あの!」

沈黙に耐え切れず、僕は思わず声を出して
いた。

ぎろり、と大将が僕を見る。

正直いってかなり怖い。

怖いけど、この沈黙した空間で、この人と
過ごすのが何よりも耐えがたかった。

「――それで、どうでしょうか」

「どうでしょうって、なにがだい?」

「雇って頂けるんでしょうか」

「ん――。2、3質問いいか?」

唸り、荒っぽい口調で大将は聞いてくる。

僕はそれにびくびくしながら「はい」と小
さく答えた。
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