風見鶏は一体何を見つめるか
「おはよ、飯島」

飯島の視線が外れるのを感じた僕は、ヤツの
背中にその言葉をぶつけた。

それを聞き取ったのか、飯島はその場に少し
だけ立ち止まった。

やれやれ、とでもいうような仕草を背中越し
見せた後で、もう一度こちらを見た飯島は苦
笑を浮かべそのまま女子の輪に入っていった。

それから数分後、いつの間にか来ていた陰の
薄い担任の、定刻通りの「ホームルームをは
じめます」というお馴染みの文句で、無駄に
長い時間がはじまった。

自分の名が呼ばれるのを確認すると、僕は視
線を窓の外に移した。

空は見ていてすがすがしいくらいの青色。


――ああ、今日も学校はこんなにも退屈だ。


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