野良夜行
「到着~。QP、ゆかをお願い」
先ほどの龍だ。
上空で流れを止め、尾だけが、ゆらゆらと揺れている。
「OK! さぁ、ゆかちゃん、僕と一緒に
Go to heaven♥」
「嫌だ。先降りてるよ」
QPと、あのおかっぱの子の声。
やりとりに耳を傾けていると、暗闇に赤い点が突然現れた。
それは徐々に大きくなり、黒い丸が赤の中に見えてきて……。
「危ないよー、お兄ちゃん」
「のわっ!」
声に従い、咄嗟に避けたのは正解だった。
さっきまで居た位置に降ってきたのは、おかっぱの女の子。
ふわりと、羽が地に落ちるかのように、舞い降りた。
「静かな心。お兄ちゃんて妖怪?」
唐突に訊かれた、質問。
無表情に、少し眉を潜めて。
「その人は人間だよ~。ゆーかちゃん♥」
「のわっ!」
続けて降ってきたのは、クマの燕尾紳士。
これも咄嗟に避けて正解だった。
狙い済ましたかのように、俺が居た位置に着地したクマ。
「てめ、今絶対狙ったろ!」
「リズムが人間さ。でも妖怪に近いんだろうね。ゆかちゃんの意見も、正解♥」
「無視すんな!」
本当に、なんなんだこの連中。
「おにいさーん、危ないよー」
「お前もか!」