野良夜行
「そう言えば、自己紹介がまだでしたね。私は、みよ。尾が3っつの天狐です」
「てんこ?」
「QPに教えてもらったんです。一度、九尾の狐に成長した妖狐は、尾を減らして神様に近づくんだそうです。その過程が天狐。神様に近づいて、尾がなくなったら空狐だと……」
「神に近づいて、……延々と、生き続けなきゃいけないのか?」
なぜあの男が情報源なのか。
というのは流した方が、良いのだろうか……。
延々と……。
まだ、苦しみを味わうのか?
「その……。辛くは、ないのか?」
「ん~。寂しくないと言えば、嘘になります。どんな友達も、先に逝ってしまうから」
目を伏せ、柔らかく微笑むみよ。
それは追悼であり、感謝のこもった笑み。
「それでも私は、みんなが好きだから。人間も妖怪も、鳥達も。みんなが好きだから。変わらず、みんなと触れ合って行けるんです。寂しいのも、みんなが好きだから……」
良い笑顔。
彼女は、なんてまっすぐで……
「だから、仲良くしてくださいね。名無しのヒーローさん」
なんて傷つきやすいのだろう……。