ラブソングをもう一度



いつの間にか、眠っていたらしい。

あたしは、あなたの腕の中で目を覚ました。


閉めきったカーテンのせいで、薄暗い部屋が、妙に心地いい。


腕を伸ばし、あなたの頬に手を添える。

起きる気配のない、あなたを愛しく思う。



長い睫毛、すっとした鼻、形のいい唇に、尖った顎。

「おはよう」

起きるわけない、と思ったのに、あなたは、気付いたらしい。

「おはよ」

眠そうにあくびをして、当然のようにあたしを抱き寄せる。

その仕草ひとつに、あたしの心は揺れる。


「今日は、バイトは?」

「今日は、休み」

少し微笑んで、あたしの頭を撫でる。


「じゃあ、1日一緒にいてくれる?」

「はは。今日は素直で可愛いんだな」


海は、爽やかな顔して、甘い台詞を平気で言う男らしい。

知らなかったことをまた一つ、知る。

あの時は知らなかったことを、知っていくことは、なんだかこそばゆい、幸せだ。



< 21 / 141 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop