君に嘘を捧げよう
「タクトにはアヤネちゃんという子がおるのになあ」
「うんまあ…」
でもそれもワケありだけど…。
「とにかーく!」
「わ」
「俺のラブ運はタクトに吸収されてるとカイ名探偵は見たねん!」
「なんじゃそりゃ」
てかカイは迷探偵だろ。
「だから体育祭で大活躍してラブ運を取り戻し、ミワちゃんをふりむかーす!」
「…あーはいはい勝手にどーぞ」
「軽く受け流すなや!ちょっとは応援しろや!」
「あ、アヤネ」
「ああっ、タクトおー(泣」
遠くにアヤネを見つけた俺はなんとかカイから逃げることに成功した。
「よっ、アヤネ」
「あ、タクト!」
アヤネが嬉しそうに笑った。
この子が俺を『タクト』だと思っていることを思い出すと、心苦しい。