君に嘘を捧げよう
嘘と愛


「どういうこと…?タクトが…2人?」

「は?そういえばコイツ俺に激似じゃん…」

「……」

間違いない。

コイツは本物の『タクト』。

「じゃあ…どっちが本物なの…?」

「何言ってんのアヤネ。2年ぶりで彼氏のカオも忘れたってか?なあ『偽者』」

「…!」

「…そうなの…?」

そうつぶやいたアヤネのカオは。

「…?」

悲しそうでもあったけど。裏切られたというカオでもあったけど。

「…どうなの?」

「…!」

全てを見透かしていたような、そんなカオでもあった。

「…だよ」

「?」

「そうだよ、俺が『偽者』。2年前に失踪もしてないし、アヤネとも今年の春、初めて会った…!」

「!!」

「…ごめん」
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