君に嘘を捧げよう
『タクト』は意外な言葉を口にした。
「お前、アヤネになんかした?」
「…え?」
質問の意味がよくわからなかった。
その気持ちを察してか、
「アヤネの様子が帰ってきてからずっとおかしいんだよ。話しかけても愛想笑いだったり、いっつもどっか遠く見てボーっとしてたり…」
「…」
「俺にホンキじゃないみたいで…で、お前なんかした?ってワケ」
分かりやすく弁解してくれた。
「アヤネ、お前といて幸せじゃなかったのか?」
「俺の質問に先に答えろよ」
言い方がいちいち嫌味たらしい。俺のなんかが気に食わないのだろうか。
「別に何もしてない……うっ!?」
突然『タクト』が俺の胸倉をつかんだ。
「そんなわけねえだろ!アヤネはこれっぽっちも俺の方を向いてくれない!向いてるのはいっつも………お前の方だ」
「!!」
そう吐き捨てると『タクト』は俺を放した。
「……」
どういうことだ?
向いてるのは…俺の方?