「キカイ」の子
冬彦がそう言うと、聡の顔は一瞬固まったが、直ぐ様に赤くなっていった。








「ふ…ふざけるなっ!」







聡は握りこぶしで机を激しく叩き、これでもかというほど大きな声で怒鳴った。









「前にも言っただろう!あの娘とおまえとでは住む世界が違いすぎる!あんな……あんな所で育った女と…高椿家とでは…釣り合わないんだっ!…それに………」









…あんな所…?








聡の怒鳴り声はまだ続いていたが、冬彦にはその声が聞こえなかった。









聡の心無い暴言を聞いた冬彦の胸の中では、どす黒い感情がのたうちまわっていた。














キリキリキリ……









かつて聞いたあの金属音も、聡の怒鳴り声と同じように今の冬彦の耳には入らなかった。
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