暴風うさぎ




天気予報通り雨風は時間と共に強くなった。家にいてもガタガタうるさいし雨音は次第に大きくなっている。

何もする事がないと余計な事ばかり考えるから好きじゃない。


あれから宇佐美とは一度も会ってない。学校に来た日もあったらしいけど午前中だけで帰ったとか誰かが言ってた。


机の荷物は空っぽだし2組の奴に聞いても大した情報は入ってこない。

きっとみんなにとって宇佐美が居なくなっても
“あぁ、そんな人いたね”ってぐらいですぐに過去の事になるんだと思う。


気が付けば今月も今日で終わりだ。

今日もし学校で会ったら最後の挨拶ぐらいしてやろうと思ってた。

だけど滅多にこない台風がきて、しかも上陸して学校は休み。笑えるぐらい最悪のタイミング。

宇佐美と俺の縁なんてきっとこんなもの。


台風まで上陸されたらもう色々諦めるしかない。



『はぁ……』


俺はバタッとベッドに横になった。

やっぱり無理矢理にでも新井を呼ぶべきだったかな。無駄な考え事なんてもうしたくない。


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