図書館>>>異世界
「「ヨルって、何者?」」
リトとシューラ、それにシューラの家族にまで言われた。……いや、何者って。
「普通の人間だよん★」
「いや、無表情で言われても…」
「普通の人間はこの量の本を完読出来なくね?」
はい、四方八方にある本棚の中の本、読破しました。
「秘技・速読なりー。ま、細かいことはさておき。
この世界の伝説もわかった。
けど、私が『賢者』に当てはまるのか。そして、本物かはまだわからないな…」
謎が多い。
とりあえず、『賢者』についてはわかった。
「成る程ねぇ…
『世界が混乱の時代、混乱に乗じて破滅の戦士が世に災いをもたらした。
クロノス国初代国王・クロノス王は世の太平の為、身を削り、これを鎮めんとした。
そこへ闇の一族から闇をその身に宿せし賢者現れ、破滅の戦士を王の騎士にする。
さらに賢者は絶大なる魔力をもつ蓮の一族の姫とともに王の身許に馳せ参じ、忠誠を誓った。
未来永劫、別たれる事なき約束を誓い、いつの日かまた、姫と姫を守る騎士と共に、王の身許に還るだろう―――』
つまり、騎士が海翔で姫が天音ね。で、私が賢者?
ははっ、二人は似合うけど、私は身に余るね!
闇は似合うけど(笑)」
パラパラと頬杖つきながら本を捲る。……ん?やけに周りが静かだな…
「勉学に勤しむとは、さすがは賢者様。
その精神には感服いたします。
しかし、それは城に着いてからどうぞお好きなだけお学びください。
このような場所で少し眼をはなした刹那に消えるのは、感心いたしかねますね」
スゲーいい笑顔で、真後ろに立っている団長さん。
目、目が笑ってないい!