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★side:クラヴィス
―――ヨルは、不思議な人柄だ。
俺は今日一日で随分と歴史的に貴重な時間を過ごしたのだと思う。
今朝早くに城は大騒ぎになった。
それと言うのも、伝説でしか聞いたことのない『騎士』と『魔力の源の姫』が、城の敷地内にある、時の霊廟に到着なされたのだ。
それはもう混乱した。
程なくして。
騎士団の団長として召集された俺は、異世界から来たと言うその二人にお目通りすることがかなった。
二人が居る部屋には、実質政治を担っている王子と、過去には王子の教育係も務め現在では王佐のシズ=レイと、宰相のアレンが居た。
王子と俺とアレンは同年代なので、仲がいい。
シズ=レイは歳上だが、俺とアレンの師匠でもあるため、この部屋には信用出来る人間しか居ないと言うことだ。
つまり、王子に近い者しか許されていないのだ。
ところが、異世界からきたという二人は、眼をさますなり、尋常ではないあせりっぷりだった。
『夜は…夜はどこ!?』
『何で俺たち二人なんだよ!夜はどこだよ!』
王子につかみかからんばかりの勢いだった。
聞けば大切な友人がもう一人いるはずだ、と。
それが―――『ヨル』だった。