図書館>>>異世界
「さて。―――ヨル、と言ったな?」
机から立ち上がり、目の前にきた王子。
……私としては、緊張するから近づかないでほしかったんだけど。
まさか『あっちいってくれます?うざいんで』なーんて、言えないしね!
「まぁ…。ヨルとしかいってませんね」
名字はいっても意味が無さそうだし、言わないことにしている。
しかしまぁこの王子様、すごく王子様!って感じ。
思い描く童話の王子様そのものだわ。
輝く金髪に、深く濃い蒼の瞳。
スタイルも抜群!
何より声がいいね(声フェチ)
逆に恐怖だよ私は。
「ヨルは…不思議な娘だな」
「いやいやいや。私にとっては王子様の方が不思議ですよ。
むしろ私が何故ここに居るのかが不思議でならない」
さっさと退室したいんです。ええそうですよー。
とにかく二人の無事を確認したい。
「すいません。
賢者かどうかは私にはわかりません。
そちらの専門家に一任するとして、私は天音と海翔に一刻も早く会いたいんですが。
二人の無事を、確認したい」
私には、賢者とかどうでもよかった。
この世界も、王子も。
天音と海翔さえ無事であれば、いい。