雪割草
 シローは渇いた唇を噤むと、香奈の横顔を伺った。

彼女はいつの間にか眠ってしまっていた。

コクリ、コクリとして、首をうなだれている。

 秋の夜長は陽炎で、月の明かりが焚き火の灯りを包んでいた。

川のせせらぎを聴きながら、香奈はスヤスヤと寝息をたてていた。


 大切な物を求める事に疲れてしまった。

そんな静かな夜だった……。

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