雪割草
 暫くすると、新宿区役所の竹中が若い部下らしき男を引き連れ、約束の時間ピッタリにやって来た。

「皆さん、お久しぶりですね。いやー、天気に恵まれて良かったですね。本当に!」

 竹中は折り畳み式の机と椅子を組み立て、書類を並べ始めた。

「はい!それでは皆さん、手続きをしますので一列に並んで下さい」

 眼鏡を掛けながら椅子に座り、部下と共に書類の枚数と人数を確認していた。

 すぐに竹中の前には行列が出来た。

皆、きちんと列を守り、順番が来るのを待っていた。

 それまで自由気ままに生きていた人達が、誰かの言葉に従う様子は少しばかり滑稽に映ったが、それだけ新しい生活に、胸を膨らませているのであろう……。

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