君がいれば・・・①
瀬奈が食べ終わったのを見て、シンが瀬奈の手の中へ薬を2錠落とした。



「風邪薬だよ 飲んで」



持って来てくれた水と共に瀬奈は薬を飲み干した。



解けやすい錠剤ですぐに口の中で解けてしまって苦味が口に残ったらしい。



瀬奈が嫌な顔をしてもう一口水を飲んだ。



「にがっ!」



薬をくれたシンをにらみつつ、スライスされた桃を口に入れた。



「子供みたいだな セナは」



背中をイスの背に預けたシンが笑う。



「薬は小さい頃から苦手なんだもん」



もっと苦手なものがある。



注射だ。



針を見るだけで鳥肌が立ってしまう。



昨日の点滴は朦朧としている中で良かったとふと思った。




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