お揃いの絆創膏【短編】
「…ない」
誰も居ない部室で一人呟く。
義理チョコもくれないのか。
「やっぱり、その絆創膏の奴って悠弥先輩なのかよ」
「まーな…」
いつの間にか俺の横には金城がいた。
「でも、悠弥先輩は東先輩を…」
「わかってるよ。でも、悠弥先輩と野球がしたくてわざわざここに来たんだ」
「この前の話を聞いてまさかとは思ったけど」
そう、そのまさか。
「でも、その人が悠弥先輩って保証はないんだよね。あ~もういいや。金城、練習に行こう」
スパイクを履き、後輩が整備しているグランドに向かった。