月夜の物語
「………っ!」
言葉を失った海月は、急いで踵を返す。
しかし身重の体は思うように動かず、その男にがしりと手首を掴まれてしまった。
「あっ、新…!助けて!」
思わず新の名前を叫ぶ。
ぶんぶんと腕を振り払おうとするが、男は逆に力を強めて海月を拘束した。
「貴女様が、海月姫でございますか」
男は、ぽつりと呟く。
「いやぁ!離して…っ!私は姫なんかではない!」
「シっ!静かに」
「あらた、助け…んん…!」
男は荒々しく海月の口を手のひらで覆うと、彼女を小屋の中へ引きずり込んだ。