月夜の物語
悠馬が慌てて飛び出す。
そこには、惨状が広がっていた。
「新…っ、新!なんで!!ねぇ!」
血まみれの新と、自らの服を血で濡らして彼を抱きしめる海月。
その光景に、悠馬の頭は真っ白になる。
どうして新が…
悠馬が駆け寄ると新はぐったりとしていたが、確かに息をしていた。
「新!俺だ、わかるか?」
「ゆ、ま…」
「お前たちを助けに来たんだよ!」
「あ…ありがとう…」
新はふにゃりと微笑った。
残力を振り絞るように。
海月はただただ悲鳴のような鳴き声をあげて、新の名を呼び続けた。
どうしてどうして、誰にやられたの、なんでなんでと繰り返す。
「海月…、大丈夫、だ、から…」
「…ひっ、うぅ……」
「泣、くな」
新は必死に手を伸ばして、海月の涙を拭って頭を撫でた。
その優しい行為に海月はもっと涙を流す。
ふたりの間に流れる愛を目の当たりにして、悠馬は胸が締め付けられるような思いだった。
せっかく助けに来たのに。一歩遅かった。
せっかく会えたのに。なぜこんなことになるんだ。