悔やみ嘆く思い

「翔ちゃーん。ココア入れたから下に降りてきなさーい」おばちゃんが威勢のいい声で俺に伝えてくる。

「今、行くー。」俺はノートをカバンの中に終いこみ急いで下に降りた。おばちゃんがココアを机に置いている最中だった。

「何かあった?」おばちゃんは俺の座った前に座って俺に尋ねてきた。
「うん、1つだけ」俺はそう言ってさっきカバンに納したノートを取り出しておばちゃんの前に差し出した。

「よく分かんねーけどこう書かれたメモがあった」おばちゃんは不思議そうに<明日 305>と書かれたノートをじっーと見つめていた。
「これ何のメモかしら」頭を傾げながら俺の顔を見るおばちゃん。

「んー。全然分かんねーや。なぁ、最近実花、どこ行ってた?」
「そーね。翔ちゃんと一緒に居ない時は大体おばあちゃんの家に行ってたかな…」頭の中で記憶を辿っているのだろう。

んーと言いながら腕を組んでいるおばちゃん。

「あ、もしかしておばあちゃんの家って305号室?!」俺はふと思ったことを尋ねる。
「残念ながらおばあちゃんの家は一戸建てよ。私のお父さん、あ、実花のおじいちゃんね。一昨年亡くなったの。それからはずっと一人でね。実花はそんなおばあちゃんを心配してよくおばあちゃんの家に行っていたの」おばちゃんは楽しそうに実花の話をする。

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