桜りっぷ

深い息を吐いた後、センは
低い声で言い放つ。

「ルイ、黙れ
　これは、親父の判断だ
　
　お前達、若い奴らは知らない
　だろうが、元々、灰塚組は
　亡くなった初代の兄弟分が
　作った組だ
　
　組を立ち上げる時、二人の間
　に無言の取り決めがなされ
　これまでは、お互いに一線を
　引いていたが、この度
　代替わりが行われた事で
　取り決めは無効・・・」

「無効なら何も
　黙っている事は無い・・・」

「今回だけは、耐えてくれ
　そう、親父に頭を
　下げられちゃ
　
　この俺も動けない

　お前たちも、今回だけは
　耐えてくれ」

不甲斐ない、俺のせいで
センさんは、会澤組は大切な
シマをひとつ、無くした。